酸化的リン酸化という重要な機能とミトコンドリアの形態が関連していると考えられており、実際にミトコンドリア機能不全の患者から得られた初代培養細胞ではミトコンドリアの形や数が健常とは異なることが報告されている。これらの知見はローダミン123を使って得られたが、この色素はミトコンドリア膜電位によりミトコンドリアが染まることが知られている。近年、ミトコンドリア膜電位が一つの細胞の中でも変わりやすいことが指摘されたため、この色素を使って、形態変化だけを評価することは難しいかもしれない。本研究ではミトコンドリア移行シグナルを融合させた緑色蛍光タンパク(mtGFP)の遺伝子を含むプラスミドを用いて、ミトコンドリアを染色した。ウエスタンブロットからミトコンドリアに緑色蛍光タンパクが局在することを確かめた。mtGFPは脱共役剤CCCPの影響を受けなかった。蛍光画像を解析し、ミトコンドリアの形態を、断片化を見るためにミトコンドリア数、膨潤を見るためにミトコンドリア一つの平均面積によって評価した。ミトコンドリアDNAが損傷され、細胞増殖が抑制される条件の0.4mM過酸化水素に暴露すると、ミトコンドリア数は変わらないが、面積は増加した。
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