研究概要 |
連通性ハイドロキシアパタイト多孔体(CI-HAp)のポーリング処理が、骨元性細胞の活動と骨形成能に及ぼす影響を検討するため以下の実験を行った。円柱状CI-HAp(直径6mm,長さ5mm)を側面がN面、底面がP面になるようポーリング処理し、日本白色家兎大腿骨遠位顆部に穿った骨孔に移植した(N=10)。対照として無処理のCI-HApを対側顆部に移植した(N=10)。術後3,6週で試料を採取し(各週N=5)非脱灰HE、トルイジンブルー染色標本で組織学的観察を行った。さらに、ビラヌーバ・ゴルドナー染色標本で再生骨のCI-HAp孔内単位骨量(BV/TV)、ALP染色標本でCI-HAp孔内骨芽細胞分画活性形成面(Ob.S/TV)、TRAP染色標本でCI-HAp孔内平均破骨細胞数(N.Oc/TV)を計測した。計測は海面骨に接するN面、P面側CI-HAp内1x4mm^2とCI-HAp中央部2x2mm^2で行った(順にN,P,C領域)。 無処理CI-HApでは周囲の皮質骨より孔内壁に沿って骨が形成され、中央部では骨形成が遅れた。ポーリング処理したCI-HApでは移植後3週から中央の孔内でも骨が形成された。骨形成はN領域で促進される傾向にあった。BV/TVは移植後3,6週ともいずれの領域でもポーリング処理群が無処理群より有意に大きかった。Ob.S/TVは移植後3,6週でポーリング処理群のN領域が無処理群と他の領域より大きく、6週後はP領域でもポーリング処理群が無処理群より大きかった。N.Oc/TVは移植後3週でポーリング処理群のP領域が無処理群と他の領域より小さく、6週後もポーリング処理群のN領域より小さかった。以上より、ポーリング処理による骨形成促進はイオンやタンパクの静電気的吸引、N面側での骨芽細胞活性化、P面側での破骨細胞形成抑制効果によると考えられる。
|