研究課題
基盤研究(C)
選択的物質透過性機能を有するハイブリッド型人工リンパ管の開発的研究に必要な要素であるリンパ管内皮細胞ならびに平滑筋の細胞生物学的特性解明を行い以下の成果をあげた。これらの結果の一部を論文ならびに関連学会において発表を行った。1.内皮細胞の特性解析リンパ管内皮細胞の物質透過性制御は、細胞内骨格タンパク質であるF-アクチンの再配合によって制御されることを培養リンパ管内皮細胞を用いて明らかにした。リンパ管内皮細胞における細胞接着分子の関与について検討し、リンパ管内皮細胞上のE-セレクチンとリンパ球表面のシアリルルイスA/Xがその接着機構の中心であることを明らかにした。培養ヒトリンパ管内皮細胞株を確立し、その細胞生物学的特性を解析した。2.平滑筋の特性解析リンパ管平滑筋の収縮特性において細胞内外グルコース(細胞外グルコースのみならず細胞内のグリコーゲンからのグルコース供給も行われる)、グルコーストランスポーター(SGLTとGLUTの両者が関与する)ならびにミトコンドリアイオン動態(ミトコンドリアATP感受性K^+チャネルとCa^<2+>ユニポーターが関与する)が重要な因子であることを証明した。リンパ管平滑筋の収縮特性に対するReactive Oxygen Speciesの関与を検討し、NADPH由来のH2O2がリンパ管の収縮制御に関与することを証明した。3.in vitroリンパ管透過性解析リンパ管壁においては水溶性物質の分子量依存性の透過性の存在することを証明した。また、このリンパ管壁の透過性機序において内皮細胞のバリヤー機構が関与することを証明した。
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