研究課題
本年度は去年までの研究成果をもとに具体的な皮膚の老化予測への応用を検討した。皮膚の老化では、一般的には、角層の乾燥や皺、基底層のうねりの減少などが起こる。一方、光老化(日光の紫外線による皮膚の老化現象)においては、表皮の肥厚、メラノサイトによる色素沈着、真皮内においてはコラーゲン繊維の減少やコラーゲン層の後退、毛細血管の減少などが起こる。これらの加齢による微細構造の変化、およびこれに伴う皮膚組織の光学定数の変化を非侵襲計測した。(1)皮膚診断用OCTプローブを試作し、その基本特性を評価した。まず、in vitro生体計測に適用して、顕微鏡による病理組織とを比較した。角層、表皮などOCTイメージと組織構造がよく対応することを明らかにした。これを踏まえてin vivoイメージングを検討した。(2)新たに波長1.3μm超広帯域光源を用いて、長波長帯での高分解能OCTを試作した。干渉計の分散補償を行い、空間分解能3.5μmを達成した。これを用いて、生体皮膚組織のin vitro OCTイメージを取得した。(3)波長1.3mm帯OCTを用いてヒト皮膚真皮内コラーゲンの可視化を行った。各年齢層に対するコラーゲン繊維厚のデータを蓄積して、加齢によるコラーゲンの減少を評価した。(4)毛細血管の可視化においては、超広帯域光源の分光OCTイメージングを検討して実験を試みた。波長1.3μm帯のOCTイメージより、細動脈の収縮・拡張を鮮明にイメージングすることができた。今後は血液の酸素化状態を考慮して機能情報も抽出する。
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Proc. SPIE Biomedical Optics Symposium Vol. 6249(in press)
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