研究課題
本研究は、若年者における情動刺激下での脳機能変化と性格安定度との関連性について調べることを目的とした。測定方法として各種記入式質問紙と脳波、脳磁図、自律神経機能検査を用いて、情動刺激時の脳機能を測定し、時間周波数解析を用いて分析した。また、それらの脳機能反応と精神安定度との関連性について調べた。その結果、情動刺激下での脳機能反応が、性格安定度や性格傾向によって異なっていることが分かった。性格不安定群では、安定群と比較し、不快刺激時に側頭部での活動が有意に増加していたが、快刺激時には前頭部での活動が増加する傾向がみられた。これらの結果は、幼児期においても青年期においても同様にみられた。さらに、幼児期においては、視聴覚刺激後の後頭部での活動が、性格安定群では有意に上昇するが、不安定群では減少する傾向がみられた。これは、性格安定群では、幼児期より視覚イメージを容易に捉えることができるのに比べ、性格不安定群では、これらの視覚イメージを捉えることが苦手であるという可能性が示唆された。これらの結果に関連して、本研究では、立体画像の脳機能処理方法が、人のもつ心像力によって異なること、情動的ストレスが脳機能反応に与える影響が、慢性的ストレス状態の有無によって異なること、トラウマをもつ人がトラウマに関連した刺激時に特徴的な脳機能反応を示すことについても調べた。以上の結果は、人のもつ精神状態や情報処理能力により、症状や態度などの表出形のみならず、脳機能の反応様式が異なっていることを示したものであり、「気持ちの問題」として扱われてきた事柄を、脳機能の反応として定量化することが可能であることを示したものである。さらに、本研究では、脳機能の解析方法として、非定常解析、非線型解析、因子分析などを応用し、解析・可視化手法に新しい工夫をすることで、現実の脳波や脳磁図データに、より即した解析を実現した。
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