研究課題/領域番号 |
17500335
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
中村 忍 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20019946)
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研究分担者 |
藤本 眞一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (70209097)
神野 正敏 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30195185)
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キーワード | 超音波 / 分子標的治療 / 抗CD20抗体 / 細胞死 / アポトーシス / 悪性腫瘍 |
研究概要 |
1.目的 超音波を利用して、悪性腫瘍に対する分子標的治療の効果の増強を図るための基礎的検討を行う。 2.方法 (1)使用細胞株:フローサイトメーターを用いてほぼ100%の細胞の表面にCD20が発現していることを確認したヒトリンパ腫由来細胞株SU-DHL-4を用いた。 (2)分子標的治療薬:CD20抗原陽性非ホジキンリンパ腫の治療に用いられている抗CD20モノクローナル抗体(rituximab)を用いた。 (3)細胞死の誘導 超音波照射方法の検討:超音波照射によるフリーラジカル発生にともなう細胞傷害を無くし、rituximabと超音波そのものによる細胞死の誘導を検討するために、細胞培養シャーレ内に炭酸ガスを充満して照射を行った。超音波は2.5W/cm^2で2分間照射し、rituximabは10^<-1>から10^<-3>μg/mlまで濃度を変えて検討した。 細胞死の観察:照射後24時間培養し、フローサイトメトリーによりannexin Vおよびpropidium iodideを用いて早期アポトーシス、二次ネクローシスを観察した。さらに、細胞死のメカニズムの解明のための細胞内カルシウムイオンの濃度を測定した。 3.成果と今後の展開 (1)超音波照射によるrituximabの作用増強効果:低濃度のrituximab (10^<-2>μg/ml)と超音波照射を併用することにより、それぞれ単独で作用させるよりも有意な殺細胞効果の増強が得られた。なお、本結果は、超音波のsonomechanicalな効果と考えられた。 (2)機序の推定:今回の実験からは、誘導される死はアポトーシスであることが明らかになった。しかし、細胞死を誘導した際に、細胞内カルシウムイオン濃度が明らかに上昇することが分り、細胞膜の変化も大きく関与している可能性が考えられた。この変化は細胞の膨化(oncosis)と関連があり、誘導される細胞死が必ずしもアポトーシスのみではないか、あるいは早期アポトーシスに陥った細胞の細胞膜に変化が生じ、このために細胞膜の透過性が亢進したとも考えられる。 今後他の分子標的治療薬での超音波併用増強効果の検討を行うとともに、メカニズムの検討を進める予定である。
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