研究課題/領域番号 |
17500339
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
竹内 真一 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 教授 (50267647)
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研究分担者 |
黒澤 実 東京工業大学, 大学院, 准教授 (70170090)
川島 徳道 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 教授 (90112888)
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キーワード | 水熱合成PZT多結晶膜 / 合成回数 / 材料特性 / 比誘電率 / 超小型一次元アレイプローブ / エレメントファクタ / 電子セクタ走査 / テーパー型のチタンワイヤ |
研究概要 |
今年度は、圧電多結晶膜の材料特性の評価および昨年度までに水熱合成PZT多結晶膜を用いて開発してきた超音波診断用の超小型超音波プローブの特性評価のための研究を実施した。圧電多結晶膜の材料特性の評価のために、成膜条件を厳しく管理して、合成回数と結晶径、膜厚、誘電率などの関係を明らかにした。本研究では、出発原料のTiイオン供給源として平均粒径300nmのルチルタイプのTiO2を用いて160℃、0.5MPa、24時間合成の結晶核形成過程を一回実施した後、温度140℃に設定して一回24時間の結晶成長過程を15回繰り返した。その結果、結晶径は、合成一回あたり約2ミクロン、15回の合成で約30ミクロンに成長し膜厚は50ミクロンに達し、結晶径や膜厚は合成回数とほぼ比例して増加することを明らかにした。比誘電率は、結晶核を生成した1回合成の段階では約1000であったが、結晶核成長過程では,4回から5回の合成で約400となり、その後はほぼ一定値を示すことがわかった。また、昨年開発した素子幅35□m、長さ4mmの水熱合成PZT多結晶膜振動子を8素子配列してアレイとして試作した超小型一次元アレイプローブのエレメントファクタとグループファクタを計測した。その結果、エレメントファクタが+/-65°、8素子を同時駆動した場合のグループファクタが約+/-10°であることがわかった。さらに、これらの素子間に位相遅延をかけることで超音波ビームを電子セクタ走査可能なことを示すことができた。また、水熱合成PZT多結晶膜を使用した直径0.2mm〜0.8mmのニードル型ハイドロホンを試作して、それらの受波感度の周波数特性を測定することにより、周波数特性に現れる不要なピークやディップがハイドロホンの径に依存することを確認した。この径方向の共振を抑圧するとともに、ワイヤ端面(PZT成膜面と反対の面)からのバックエコーを抑圧可能なテーパー型のチタンワイヤを用いたハイドロホンの試作も行った。その結果、バックエコーを抑圧できることがわかった。径方向共振の抑圧に関しては、明確な効果を得ることができなかった。更に、水中に強い強度の超音波を発生したときに生じる音響キャビテーションを計測可能な、筒型キャビテーションセンサを水熱合成PZT多結晶膜を用いて、試作し、キャビテーションの検出が可能なことを示すことができた。
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