研究概要 |
〔目的〕重度な心身障害を伴う大脳性視覚障害(Cerebral Visual Impairment;CVI)児に対して,リハビリテーションを視野に入れた残存視覚の評価に視運動性眼振法によるコントラスト感度測定が有用であることを我々は報告した(境ら,2004).しかし,この方法では,高い空間周波数領域の刺激での眼振が生じにくいこと,自発性眼振の強い症例では判定が困難であるという問題が残る.瞳孔反応法によるコントラスト感度測定は,このような問題を払拭し,知的低下などの理由で検査に協力困難な症例の残存視覚を評価することに有用であるかもしれない.本研究では,(1)瞳孔反応法(視察)によるコントラスト感度測定の精度を確かめ(平成17年度),(2)この方法によるCVI児の残存視覚を評価し,測定法の信頼性を検証する(平成18年度).なお,予備研究(4〜12歳までの健常児9名とCVI児8名に対する瞳孔反応法を用いたコントラスト感度測定)により,瞳孔をビデオ撮影し,縮瞳をリアルタイムで判定する視察法が有用であることを確認している. 〔方法〕視察による瞳孔反応法の測定精度の確認(平成17年度実施分) 健常被験者1名に対し,輝度または色度からなる4種類(0.125,0.5,2,8cycles/degree)の空間周波数パターン刺激を,段階的にコントラストを変化させて22インチモニターに呈示し,瞳孔計を用いて大まかな縮瞳の範囲を確認した.続いて,確認した縮瞳の範囲を十分に含んだ10段階の変化率を導き出し,空間周波数パターン刺激を用いて,各変化率の縮瞳を操作的に作り出し,赤外線ビデオカメラで撮影した.縮瞳しなかった映像を含む各変化率のビデオ映像を3人の判定者に個別にランダムな順番で500回呈示し,「縮瞳あり」または「縮瞳なし」の判定を行った.結果は,変化率と判定の正答率をグラフにとり,視察によって判定できる変化率を算出する予定である.
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