研究分担者 |
伊藤 秀美 東北大学, 大学院歯学研究科, 講師 (50005104)
今泉 敏 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (80122018)
香取 幸夫 東北大学, 病院・講師 (20261620)
森川 秀広 東北大学, 大学院歯学研究科, 助手 (60302155)
本多 清志 ATR人間情報科学研究所, 生体イメージング研究室, 室長 (90395088)
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研究概要 |
本研究は,舌癌を含む頭頸部癌などによる構音・摂食・嚥下障害を持っ中途障害者の機能回復の調査を通して,構音機能と摂食・嚥下機能との関係性を検討し,母音・子音生成時の構音機能を活用した新たな口腔機能回復装置の基礎資料,およびそれらを用いた治療法のシステム化とスピーチ・リハビリテーションプログラムの確立をめざし行われた. 平成18年度は,以下の実験を行った. 実験1:舌切除者を想定した基礎資料を得るため成人有歯顎者の口腔内に口蓋部右側半側を4〜5mm盛り上げた口蓋床を装着した状態で,ATR脳活動イメージングセンタに設置された島津Marconi社製MAGNEX ECLIPSE 1.5T Power Drive 250および電気的パラトグラフなどを用いて,5母音(/あ/・/い/・/う/・/え/・/お/),6子音(/た/・/き/・/か/・/さ/・/しゃ/・/ひゃ/)などの母音・子音生成メカニズムを調査した. 実験2:舌半側以上切除者を対象に,舌接触口蓋床義歯装着による影響を,構音は電気的・粉末式パラトグラムを用いて,摂食・嚥下は嚥下造影(VF)およびビデオ内視鏡検査(VE)等を用いて調査した. その結果,以下のことが明らかとなった. 実験1:MRIの調査では,(1)5母音に関するそれぞれの正中矢状断面における声道形状が異なっていた(2)6子音に関しては.正中矢状断面における声道形状に関与する各器官の運動が破裂性の/た/・/き/・/か/と摩擦性の/さ/・/しゃ/・/ひゃ/では異なり.特に/た/・/き/・/か/に関しては舌運動に相対する硬口蓋に加えて,軟口蓋とパサバン隆起,上咽頭・中咽頭の形状変化が認められ,またそれらのパラトグラムは狭めや閉鎖形成において非対称性が顕著であった. 実験2:口蓋床装着により,構音機能は改善し,摂食・嚥下に関しても,舌,軟口蓋,咽頭,喉頭などの機能が改善し,摂食・嚥下時間も短縮される傾向が認められた.
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