携帯電話などのバイブレーション機能が普及したことで、触覚へ情報が提示されるという感覚を日常的に体験しているが、触覚への情報提示技術、触覚ディスプレイとしての情報伝達量の観点では十分ではなく、携帯性・利便性においても課題がある。従来、触覚ディスプレイはその多くが触刺激素子アレイを採用し、伝達情報量の向上には触刺激素子の高密度実装化が図られてきた。 本研究では、少数の触刺激素子の中で伝達情報量を如何に確保するかを主要なテーマとし、触覚における2種類の錯覚、ファントムセンセーションと仮現運動を同時に生起させ、統合して知覚させる(ファントムセンセーションと仮現運動のセンサフュージョン)ことにより、伝達情報を触刺激で表現する技術を開発した。 今年度は、前年度までの研究成果を踏まえ、触刺激素子間の仮現運動、ファントムセンセーション像と触刺激素子間の仮現運動、そしてファントムセンセーション間の仮現運動を、それぞれ3つの触刺激素子で構成された触覚ディスプレイ上に生起させる技術を利用して、その1アプリケーションとしての本人認証システムを構築、その実用化に向けた評価試験を行った。また、本研究課題4年計画の最終年度として、ファントムセンセーションと仮現運動のファントムセンセーションを利用した情報伝達技術を総括した。
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