新しく開発した人工筋肉は、ホース状の構造体の内部に圧縮空気を送り込むことにより、半径方向に膨張すると同時に軸方向に収縮する特性を有しているマッキンベン型空気圧ゴム人工筋である。まず被検者に合わせた両側支柱付き長下肢装具を作成した。装具には、人工筋肉を左右とも3本装着し膝伸展力として作用するように工夫し、立位補助システムを作成した。椅子に座位の状態から、被検者の膝伸展筋力を作用させずに、腰ベルトを介助者が引っ張ることで立位をとらせる動作を行なわせ、介助者がどのぐらいの引っ張り力を必要としたかを測定した。引っ張り力の測定には、介助力測定センサーおよびコントローラーを用いた。被検者に膝伸展筋力を作用させずに、また人工筋肉も作用させずに立位をとらせた場合、立位をとらせるために要した引っ張り力は300N以上であった。それに対し、被検者の膝伸展筋力を作用させず、人工筋肉を作用させた場合には、引っ張り力は30Nと人工筋肉を作用させなかった場合の約1/10の力しか必要としなかった。被検者を10名とし、10%の介助力で立位補助が行えることを確認した。多くの被検者に装着しうるように、調整機能付の両側支柱付き膝装具を作成した。また、実際に下半身が麻痺した、脊髄損傷患者に対し、御本人および御家族の同意を得て、立位補助システムを作成し、装着した。患者自ら操作でき、自身の感覚として立位をとることが可能となり、立位訓練としての利用も可能であると感じた。さらに、両側支柱付き膝装具は、人工筋肉を作動させる枠組みとしては、強度、主さなどは問題ないが、実際装着する立位補助システムとしては、重い、堅い、装着しにくいなどの点で問題が有ると考え、着ることのできる柔らかい素材での立位補助システムを作成中である。研究成果については、第43回日本リハビリテーション医学会に報告した。また、平成19年6月の第44回日本リハビリテーション医学会、および平成19年7月第19回日本運動器リハビリテーション学会に報告予定である。また、できるだけ早期に英語論文として投稿予定である。
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