研究課題/領域番号 |
17500367
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
橋本 美芽 首都大学東京, 健康福祉学部, 准教授 (80347278)
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研究分担者 |
新田 收 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (80279778)
横井 郁子 首都大学東京, 健康福祉学部, 准教授 (90320671)
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キーワード | 排泄 / 運動能力 / 生体機能 / 建築環境・設備 / 人間生活環境 |
研究概要 |
1.本実験の実施 (1)実験の実施 平成19年度は、平成18年度の研究において、高齢者の排泄時の起立・着座動作において特異な特徴を示す被験者に共通する身体特性に着目し、それが排泄動作に及ぼす影響の解明と、その標準的対応として現状で用いられる手すり取り付けの有効性の検証を目的とした。また、その考察を基に適性環境の検討を行った。 三次元動作解析による身体負荷の定量的な測定を用いて、高齢者が手すりを使用し便座への着座動作・起立動作を行う際の膝関節負荷を測定した。 (2)測定データ分析 三次元動作解析により、排泄時の着座・起立動作において、排泄姿勢(座位)と立位姿勢の姿勢変換過程における関節負荷を測定した結果から、主に重心移動軌跡、関節トルク値を分析に用いて動作特性を分析した。さらに、膝関節に痛みのない高齢者(以下、膝痛なし者)と、膝関節に痛みのある高齢者(以下、膝痛あり者)の比較を行った。 2.測定に基づく成果 (1)排泄時の起立・着座動作において、膝痛なし者の場合には、使用する手すりに近い膝関節のトルク値が高く、他方(手すりから遠い側の膝)は低減される。 (2)膝痛なし者と、膝痛あり者を比較すると、動作時の痛み、手すりの使い勝手等に関する主観評価では、両者間に差異は認められず、身体負荷は主観に表われにくいことが示された。(2)膝関節トルク値の比較では、膝痛者の身体負荷と動作特性はトルク値に顕著に表われことが示された。(3)手すり使用時の膝関節負荷では、膝痛のない高齢者は、壁面の手すりを使用すると手すりから遠い側の膝の負担を軽減できる。一方、膝痛のある高齢者は、手すりよりも痛みのある膝による影響を受けることが示された。(4)膝痛あり者へは、膝痛のない膝側の壁面へ手すりを付けることが望ましく、膝痛あり側の壁面のみへの手すり取り付けは不適切であることが明らかになった。
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