虚血性心疾患に対する包括的心臓リハビリテーション(心臓リハ)の効果はすでに内外で認められているが、わが国において積極的に行っている施設はまだ少ない。術後や発症後の抵抗力の低下した患者に対しての過度な運動は更なる免疫機能の低下を招くことが危倶される。しかし、これまで心臓リハが及ぼす免疫機能への影響を調査した研究は内外を通じていまだ見られない。本研究は、開心術後または心筋梗塞発症後に低下する細胞性免疫機能に対して、運動療法を中心とする心臓リハがどのような影響を及ぼすか、回復期外来通院型心臓リハを実施しその効果を検討した。以下に結論を示す。 (1)左室補助人工心臓患者のNK細胞活性、高感度CRP値ならびにIFN-γ値が他の心疾患患者と明らかに異なる値が示され免疫機能の異常が推察された。 (2)可溶性TNFR1と可溶性TNFR2は運動耐容能と関連性が認められ、その機序については今後検討が必要であるが、冠動脈疾患患者のみでなく健常者においても血中のTNFレセプター濃度力高いほど運動耐容能は低い傾向があった。 (3)外来通院型心臓リハはわが国において普及されるべきシステムであり、細胞性免疫やサイトカインにおいても悪化をきたすことはなく、安全でかつ効果の認められることが十分期待できる。
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