研究概要 |
【対象】 日本歯科大学付属病院において手術を受けた口腔腫瘍患者10名。 【方法】 以下の課題を術前,術後1ヶ月,術後6ヶ月に実施した。 1)口腔腫瘍術後患者の発話サンプルの採取 日本語の単音節100音節の音読,日本語5母音および5分間の日常会話の録音 2)発話明瞭度と会話明瞭度の測定 3)発声発語器官の運動機能の評価 4)音響学的分析として母音の第1フォルマントと第2フォルマントの測定 【結果】 1.術前術後の構音の変化;すべての患者において発話明瞭度と会話明瞭度の低下が見られた。また母音の基本周波数のうち第1フォルマントと第2フォルマントの変化が見られた。 2.手術による影響;切除範囲が広いほど舌の運動障害が重度で/i//e/の音響学的特徴が相似する傾向があった。 3.回復過程の中で母音の第1フォルマントと第2フォルマントの値は術前の値に近づく傾向が見られた。 【考察】 1.母音の第1フォルマントは高くなる傾向が見られた。これは舌運動の低下により,舌と口蓋の狭めが得られなくなったことを示していると考えられる。 2.回復過程および舌口蓋接触補助床の効果は音響学的評価でも得られることがわかった。
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