認知症患者の周辺症状として発生する行動障害について、意図的な介入により改善した事例を250例収集した。言語による表現ができないことから、身体的要因により行動障害を起こしている事例も見られたが、最も多く行われた介入は意図的な語りかけなど、コミュニケーション上の工夫であった。 また、照明の改善など環境要因の調整も介入方法として頻繁に行われているが、コミュニケーション上の介入と環境上の介入等、複数の働きかけによって認知症患者の行動障害が改善する例が多いことがわかった。 生活のなかで認知症患者が出来ることを探し、役割を見つけることで、行動障害を改善する介入方法もとられており、課題要因への介入が有効であることが明らかになった。 ケアマネジャーへの調査では、介入の内容まで明確にできなかったため、四国のある県の老人福祉施設に調査を依頼したため、家族要因への介入はほとんど行われていなかった。 どのような介入が最も効果を生むか、統計的に明らかにし、認知症患者のケアマネジメントの科学的根拠にすることを目指したが、データーベース化することにより、ケアマネジャーがケアプランの参考とすることも可能であることが解り、インターネットでの研究成果の公開を検討中である。
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