1)上肢筋収縮が体幹筋の等尺性収縮特性に及ぼす影響について筋電パワースペクトル解析を用いて検討した。健常男性11名について、セレンセンが開発した体幹保持法を行いながら、上肢筋収縮なし、弱い筋収縮、強い筋収縮の3通りでの違いを脊柱起立筋から導出した筋電波形からフーリエ解析を用い周波数減少率を算出した。結果として上肢の弱い筋収縮では体幹筋持久性の低下を認め、強い上肢の筋収縮では体幹筋の筋持久性は向上する傾向を示した。 2)従来よりわれわれは効率的な新しい筋力強化法として、関節運動時に拮抗筋に電気刺激を与え、これを主動作筋の抵抗とする運動療法(Hybrid法)を考案し、基礎データを収集してきた。4週間のHybrid訓練による筋持久特性の変化について、上腕筋を被検筋として筋電パワースペクトル解析を用い、中心周波数、平均パワー周波数の減少率で検討を行った。上腕二頭筋では明らかな持久力の向上を認めなかったが、上腕三頭筋では持久性の向上を認めた。また、電気刺激単独での実験では、筋力増強効果は認めたものの、筋持久性は反対に低下する傾向を示した。通常の骨格筋自発収縮では、赤筋であるtype I線維より活動し、負荷が大きくなるにつれて順次白筋であるtype II線維が活性化する。Hybrid法は電気刺激の筋収縮を抵抗として自発筋収縮を促す方法であり、筋力増強だけではなく、筋持久力も向上させる方法と考えられた。電気刺激により誘発される筋収縮は逆にtype II線維から活性化するため、筋力増強効果は認めるものの、筋持久力は低下する可能性があることが明らかとなった。
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