研究分担者 |
卞 圭悟 (大山 圭悟) 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80312833)
後藤 邦夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30215488)
及川 力 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (60213609)
中村 有紀 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教 (30389720)
加藤 伸子 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (90279555)
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研究概要 |
本研究は、聴覚障害学生を対象とした,視覚活用とリズム適応を目指した体育・スポーツ指導法について検討し,指導者のコミュニケーションスキルに頼る方法だけではなく,メディアや情報支援機器なども取り入れた新しい指導スタイルを構築することを目的としている。4年計画の3年目として、特にリズムや運動,音声情報の可視化と体育・スポーツ指導場面への導入について実験をすすめた。聴覚障害学生にわかりやすい情報提示方法として,リズムや音声情報の可視化のためのシステムを試作し,リズムステップテストとしてその評価実験を行った。実験の条件設定は,リズムパターンを,聴覚情報,視覚情報,それらを同時に情報提示する3種類とした。それぞれの条件における,ステッピングをビデオカメラで撮影し,動作分析を行った。リズムパターンは,刺激の持続時間と刺激間の時間間隔(IOI:Inter onset interval)が一定である単調拍子を用いた。視覚提示による反応時間を検討するために,聴覚障害学生ならびに健聴学生を対象とした,光刺激による全身反応時間を測定した。その結果,両者間に差は認められなかった。各条件における正確性と安定性を聴覚障害学生と健聴学生で比較した結果,聴覚情報のみでは,正確性は健聴学生が有意に高かったが,安定性に差は見られなかった。視覚情報提示では両者ともに正確性は向上したが,安定性は向上しなかった。また,聴覚情報と視覚情報を同時に提示する方法が聴覚障害学生にはもっとも正確性と安定性が高いことが示されたが,健聴学生では,聴覚情報のみが最も正確性と安定性が高いことが示された。このことより,インクルーシブな場面で応用するためには,同時提示における聴覚情報と視覚情報の提示時間差に着目した検討の必要性が示唆された。
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