1) スキーヤー・スノーボーダーの衝突場面の収集 実際の衝突場面の映像を森本剛氏の協力により約20件の動画を収集した。後方からの追突、仲間同士の衝突、転倒しながらの衝突、撮影者自身が他人に衝突する衝突等、多種多様な衝突場面である。過失を問い得るケースと受忍するべき衝突とあるように思われる。 2) 対人衝突事故の刑事責任および民事責任に関する検討 女性スキーヤー対女性スノーボーダーの衝突事故に関する調停事件の過失割合に関して、本研究者が試みた算定方法をまとめた。結果は、上方から滑走していたスキーヤー(申立人)が衝突直前まで前方を注視しておらず、スキーヤーの過失を85パーセント以上と判定した。滋賀県のスキー場で発生したスノーボーダーが滑走中にゲレンデに立ち止まっていた親子に衝突して小学生を死亡させた事故の刑事事件の判決を入手した。スポーツ中の事故の責任に対して刑事責任が問われることの重大性、および過失割合と刑事責任の関係について、スキー場の来場者に対する日常の安全管理や情報提供、さらには事故後の警察による事故原因の調査方法およびスキーパトロールの存在意義等に関して検討している。 3) 対人衝突事故の過失割合の判定 アメリカコロラド州ウィンターパークスキー場でスキーパトロールに対して行った対人衝突場面の過失割合に関するアンケート調査のデータと日本の学生のデータとを比較してまとめた。複数の者が関与する衝突や上方からの滑走者が下方の者に衝突する衝突について、大学生の判定結果には幅があったが、アメリカのスキーパトロールの判断は凝集する結果となった。
|