研究課題/領域番号 |
17500404
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30335955)
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研究分担者 |
杉原 隆 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60015724)
森 司朗 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (80200369)
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キーワード | 運動指導 / 幼児 / 運動能力 / 遊び / 体育形態 |
研究概要 |
本年度は、保育場面での観察を通して運動指導の内容を明らかにし、運動能力との関連で指導内容を検討することを目的とした。4園を対象に保育場面の観察を行ない、その際任意の年長児にライフコーダーを装着して運動強度、歩数等の計測を行なった。 これにより以下のことが明らかとなった。 1.一斉保育を中心としている園では、全体的に子どもの活動に対する選択の自由度が低く、動きのバリエーションも少ないという保育形態の違いによる子どもの運動経験の違いが示唆された。このことが運動能力の低いことと関連しているものと思われる。 2.子どもに対する保育者のかかわりはいずれの園でも共通の配慮がなされていたが、一斉保育の園では限られた活動の中で画一的、一律になされているのに対し、自由保育の園では子ども取り組みそのものに対して評価をするという質的に異なったかかわりがみられた。 3.自由保育の園では男女の活動量の差は見られないのに対し、一斉保育の園では女児の身体活動量が少なく個人差も小さくなっており、男児との差が見られた。 4.運動能力の高低によらず幼児の活動の中には高い運動強度のものはほとんどみられなかった。このことから幼児期には高い運動強度の活動は必要なく、からだを多様に動かすことが運動発達に影響していることが示唆された。 5.ライフコーダーによる歩数の計測は純粋に歩数をカウントしておらず、必ずしも活動量が反映されている都はいえなかった。 幼稚園では運動能力の低下や健康問題についても高い意識を持って子どもに関わっているが、子どもに良かれと思っている内容が、実際には十分生かされていない場合もある。子どもの立場で保育内容を考え、活動を見直してみる必要があろう。保育者は、活動中心の保育よりも子どもの経験を重視した保育内容を計画して指導することが大切である。運動そのもののとらえ方を見直すことも必要であると思われる。
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