本研究は、全身的でリズミカルな動きによるリズム体操の「運動教育」としての有効性を心理学的、運動学的および教科教育学の立場から検討したものである。 1 リズム体操の授業実践における動きの変容 これまでの研究により、リズム体操の学習内容として、単に音楽や拍子に合わせて動くことではない、リズミかルな経過を持つ動きの習得、動きの流動の生成と習得が挙げられる。大学生を対象としたリズム体操の授業実践における動きの変容を検討した結果、リズミカルな動きの経過はみられるようになったものの、動きの流動(局面融合)の習得には個人差がみられた。 2 リズム体操授業における感情の変化 リズム体操の授業前後における感情の変化を調査したところ、授業後に「快感情」の有意な得点の増加および「不安感」の有意な減少がみられた。 3 リズム体操授業における学習者の認識の検討 学習者は、基本運動としてのはずみと振りの重要性を認識し、それらを活かした全身的な動きと音楽、手具の使用などが相互に関連しながら動きの流動の学習へ繋がっていた。学習活動には、教え合いと運動を通してのコミュニケーションなどの学習者相互の関わりが深く関与し、ポジティブな感情や肯定的な授業の雰囲気が、学習を支えていた。リズム体操の学習によって、一体感、達成感、新しい発見が生み出され、発展として、学習の転移、指導法に関する意識が生まれていた。
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