研究課題/領域番号 |
17500410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子体育大学 |
研究代表者 |
覚張 秀樹 東京女子体育大学, 体育学部, 助教授 (00297574)
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研究分担者 |
広瀬 統一 東京女子体育大学, 体育学部, 非常勤講師 (00408634)
福林 徹 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (70114626)
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キーワード | 認知科学 / 事象関連電位 / 発育発達 / 骨年齢 |
研究概要 |
本研究は成長期トップレベルアスリートの中枢における情報処理能力の発達と、個人の生物学的な成熟度の関係を明らかにすることを目的とした。対象は某Jリーグ下部組織に所属する10.3歳から12.9歳の成長期男子サッカー選手18名であった。被験者の生物学的成熟度を評価するために、左手関節のレントゲン写真をもとにTanner-Whitehouse II法(TWII法)のRUSスコアを用いて骨成熟度を評価した。そしてRUSスコアを村田らの日本人標準骨年齢概算表をもとに骨年齢に換算した。 一方被験者の中枢における情報処理に要する時間を評価するため、視覚刺激に対する反応課題を課した。課題は2つの非標的刺激(刺激頻度は80%)と1つの標的刺激(刺激頻度は20%)によって構成され、被験者は標的刺激が提示された時のみ、手および足のレスポンススイッチを押すように指示された。その際の脳波を国際10-20法に基づき頭部のFz、Cz、Pzから導出した。得られた脳波のうち、刺激提示後200msec前後に表れる陰性波形をN200とし、認知に要する時間として評価した。そしてN200およびP300潜時の横断的変化と骨年齢の関係を検討した。 その結果、N200潜時は10歳から12歳にかけて徐々に短縮する傾向を示し、暦年齢(r=-0.51、p<0.05)、骨年齢(r=-0.50、p<0.05)ともに有意な相関を示した。一方P300も同様に10歳から12歳にかけて緩やかに短縮するが、骨年齢とのみ有意な相関を示した(r=-0.50、p<0.05)。 これらの結果から、成長期サッカー選手の中枢情報処理能力は10歳から12歳という期間に徐々に発達するが、この変化に対して骨年齢が表す個人の生物学的な成熟度の差異が少なからず影響することが推察される。
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