研究概要 |
本年度は引き続き,動作シナジーの組織化に関する理論的研究および実験的研究を進めた。 はじめに,複雑な筋活動の協調を必要とするリズミカルな動作の安定性が環境情報によって変化することを明かにし,非線形微分方程式モデルを用いてその妥当性を検証した。また,その内容をJournal of Experimental Psychology : Human Perception and Performance誌に発表した。 次に,リズミカルな体肢の運動の安定性に対する体肢機能の左右差の影響について,非線形微分方程式モデルを作成し,シミュレーションおよび実験によってその妥当性を検討した。その結果,動作の熟達化にとって体肢の左右差が重要な制御変数となることが明かになった。本内容に関しては,平成19年7月に開催される国際学会14th International Conference on Perception and Actionにて発表予定である。 動作シナジーに関わる脳活動については、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて環境情報に対する協調動作を実現するための脳活動について実験を行い,データ解析を進めている。詳細な結果については,次年度に報告する予定である。 さらに、研究代表者である工藤は動作シナジーの組織化に関する知見を著書(麓信義編「運動行動の学習と制御」,第4章「学習された運動行動の制御」)として発表し,加えて日本スポーツ心理学会第33回大会におけるラウンドテーブルディスカッション「スポーツ心理学における数理モデル」の世話役および司会を担当して運動制御における力学系モデルの可能性について議論した。また,同ラウンドテーブルディスカッションでは,研究分担者である宮崎が話題提供者として発表を行なった。
|