研究概要 |
1.目的:剣道家に見られる剣道難聴を予防することは極めて有意義であるが、その原因は、未だに解明されていない。本年は、「剣道難聴」と剣道騒音の関係について,さらに剣道具の安全対策の一環として各種面布団の遮音効果についても基礎的な検討を行った。2.方法:I)剣道の稽古・騒音が聴力疲労に及ぼす影響について:剣道の稽古前と稽古後における聴力の変化や剣道騒音暴露による影響などを明らかにするために本学剣道部学生を対象とし、RION社製オージオメータおよび耳音響反射測定装置(OAE)を用いて、聴力の生理的な日・月内変動や剣道稽古の影響などを測定した。2)剣道具(面)の各種布団の相違による遮音効果について;遮音ボックスを自製し、各種芯材の布団の遮音効果を明らかにすると同時に、自動車衝突用ダミーヘッドの耳部に穴を開け、マイクロフォンセットし、剣道稽古中や補聴効果測定装置による音刺激(音圧・周波数)などを暴露し、各種面(布団)を装着した場合の遮音効果についてFFTアナライザーにより解析を行い比較検討した。3.結果:1)オージオメータおよびOAE所見からは、個人の日・月内の生理的変動が最大で10dBの数値幅を有することが確認された。これまで稽古の影響について5dB程度の差が見られたものの、有意差があるとは言えなかった。2)(1)全材料について1.5kHz以上の周波数帯域で遮音効果は高くなり、特に3kHz以上では全ての材料とも、ほぼ同程度の遮音効果を示した。また、ミシン刺しより手刺し材料の方が遮音効果は高かった。(2)ダミーヘッドに面装着した場合、4kHzにおいて遮音効果は高くなるが2kHz以下では効果は認められなかった。また、4kHz以上ではミシン・手刺し共に粗な縫製の布団が効果は大となる傾向が認められた。(3).化学素材(ソルボセイン)を1枚加えると、あらゆる布団材料よりも遮音効果は高くなった。
|