【目 的】:本研究ではfMRIと脳波を用いて、メンタルトレーニングの効果を評価し、脳活動モデルをもとにした新たなメンタルトレーニング・プログラムを開発することを目的とする。 本研究では、研究期間の初年度を「基礎研究」、二年目を「応用研究」、三年目を「発展研究」と位置づけ、平成19年度は、脳科学をベースとしたメンタルトレーニング・プログラムを開発するための補助的な実験を追加すると供に、スポーツ心理学会を主催し、脳科学(fMRI)を用いたスポーツ心理学研究のあり方などをスポーツ心理学研究領域に提案していくことも目的とした。 【方法・結果】研究1では、昨年の結果より構築されたメンタルトレーニング・プログラムのうち特にリラクセーショントレーニングと動機づけを高めるためのトレーニング・プログラムの開発・評価について重点的に実験を行った。リラクセーショントレーニング技法の評価では、異なる2つの方法を用いてその時の脳活動についてfMRIを用いて評価した。また、動機づけを高める指標として、脳の報酬系に対するパフォーマンスのフィードバック情報の与え方について評価を行った。その結果、島皮質の活動が課題の難易度(動機づけ)と関連することを示すことができた。この島皮質は、somatic marker仮説にて身体と情動反応を結びつける役目をするとされている。このことより、今後、島皮質の活動を捉えることがメンタルトレーニングの評価にもつながることを示すことができた。 平成19年度では、研究2として、fMRI研究のスポーツ心理学領域への普及を目指すという点も目的とした。この目的を達成するために、スポーツ心理学会を開催し、また、fMRIを含めたイメージング技術のための講習会を2度にわたり開講した。また、「体育の科学」にスポーツと脳に関する著作を執筆しスポーツ科学におけるfMRI普及に努めた。
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