本研究では、常圧低酸素環境を用いたレジスタンストレーニングと体脂肪燃焼の効果について検討を行った。 対象者を健常な男子学生6名を対象とし、低酸素環境下(15.4%:標高2500m相当)で安静状態を50分間取らせてレジスタンストレーニング(レッグエクステンションを1RMの60%の負荷で10回運動を1セツトとし、3セツト(休息2分)行う)を実施する場合(低酸素群)と常酸素環境下で安静(50分)を取らせてレジスタンストレーニングを実施する場合(常酸素群)の比較検討を行った。 その結果、低酸素環境下ではカテコールアミンであるアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンが抑制される傾向を示したが、常酸素環境下でレジスタンストレーニングを行う場合よりも成長ホルモンが多く分泌されることが明らかとなり、低酸素刺激がホルモン分泌動態に何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。 対象者を健常な成人男性7名とし、低酸素環境下において25%・VO2max程度の運動強度で1時間の歩行運動を行うことは、常酸素環境下の同強度の歩行運動と比較して、心拍数とRPEの増加、酸素飽和度(SpO2)の低下をもたらし、エネルギー代謝が解糖系の方向にシフトした。したがって、運動中の体脂肪燃焼についての積極的な効果は認められなかった。 しかしながら、運動終了直後から運動終了後40分までは常酸素環境下に比べて低酸素環境下で歩行した時の方が、呼吸交換比は低い値を示し、脂質の代謝が亢進していること明らかとなり、常圧低酸素環境を用いた体脂肪燃焼については運動後の効果についてその可能性が示唆された。
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