研究概要 |
本研究では、平成16年度から文部科学省で実施されている「子どもの体力向上推進事業」指定市町村における、学校の体育活動と総合型地域スポーツクラブ連携プログラム実施地域とそうでない地域による子供の運動実施頻度と活動量、運動種目や活動形態など、スポーツ行動的側面からの運動習慣と生活習慣の促進への成果と課題について、諸外国の事例を参考に評価することを目的としている。今年度は、国際学会(ヨーロッパスポーツ社会学会:ドイツミュンスター開催)での研究動向調査及び成果発表を実施した。各国とも子どものレジャー参加や運動・スポーツ参加の減少傾向が共通の関心事となっている。昨年度の研究結果については、日本体育学会、日本生涯スポーツ学会等で発表を行った。今年度は、研究計画の最終年次であり、2005年と2006年に実施してきた鹿児島県和泊町4小学校154名分の質問紙による子どもの生活時間調査とライフコーダーによる身体活動量測定に関する児童生徒男女154名分のデータ分析を総合的観点から実施した。本地域では、総合型地域スポーツクラブ参加者は、全体の6割近くを占め、その成果として友人獲得や体力向上への効果があったと答えている。地域スポーツクラブ参加と非参加群での比較によれば、家遊びやテレビゲームなどの時間、全体的な身体活動量などにおいてもスポーツクラブ参加群の方がより活動的な生活をしていた。そして、保護者側からの調査では、学校よりも総合型地域スポーツクラブへの体力、スポーツ技術面への効果に期待する保護者が多くみられた。全国146の総合型地域スポーツクラブに対して、クラブの子供の体力向上プログラムや学校との連携状況について質問紙調査を行なった結果、現在の子供の体力低下の現状認識はあるものの、学校との連携や指導者間の協力体制は十分では無かった。今年度実施した連携プログラムがあるという38クラブに対する事例調査では,活動範囲は1中学校区を主体としているクラブが多かった.そのプログラムについて,「部活動」,「指導者派遣」,「学校体育施設利用」,「教室・イベント実施」などで連携を図っているクラフ見られた。事業終了後のモデル地域での活動状況では、地域や学校の関係者の連携システムの構築と継続性が重要な課題としてある。この3年間の研究の詳しいまとめは報告書を参照願いたい。
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