研究課題
基盤研究(C)
本研究では、若年者との比較から高齢者の足関節運動における力-速度関係と筋パワー発揮特性を明らかにしようとした。被験者は65歳-73歳の高齢男性15名(GO)、18歳-22歳の男子学生15名(GY)である。足関節の力-速度-パワー関係を測定するため、足底屈・背屈運動装置を作成し、足関節が90°における等尺性最大筋力(Fmax)を測定した。得られたFmaxの0、10、20、30、45、60%Fmaxを負荷として底屈・背屈運動(可動域:80°-120°)を行わせ、時間角度変位から90°を通過する際の速度を求めた。得られた力と速度の値をHillの特性方程式に当てはめて力-速度-パワー関係を求めた。また、下腿部前面・後面の筋厚の計測は超音波診断装置を用いて行い、頸骨点より下腿長(L)の遠位30%の位置を計測部位とした。得られた筋厚を二乗し、3.14(円周率)を乗じることにより下腿部前面・後面の筋断面積(CSA)をそれぞれ推定した。また、前頸骨筋(TA)と腓腹筋外側頭(LG)よりEMGを記録した。(1)CSAについては、LGにはGO-GY間に差はみられなかったがTAには有意差がみられた。(2)Pmax、Fmax、Vmaxは底屈、背屈運動ともGY>GOとなりいずれにおいても有意差が認められた。また、対GY比で比較すると、底屈のPmax(69.1%)、Fmax(69.5%)、Vmax(82.8%)、背屈のPmax(69.4%)、Fmax(81.8%)、Vmax(78.9%)となりPmaxの低下が最も著しい結果を示した。(3)Fmax/CSA、Pmax/CSA、Vmax/Lについては、底屈ではいずれにおいても有意な差がみられたが、背屈ではVmax/Lにのみ明らかな差がみられた。(4)力-速度、力-パワー曲線は底屈、背屈ともにGYがGOの上方に位置し、背屈においては全ての負荷条件下でGOがGYに比して有意に遅い速度を示したが、底屈はいずれの負荷においても有意差はみられなかった。(5)各負荷条件下での収縮時におけるiEMGとFmax発揮時のiEMGで標準化した%iEMGについては、底屈、背屈運動の主動筋、拮抗筋いずれにおいてもほとんど差は認められなかった。以上の結果から、高齢者の底屈、背屈運動においては、筋機能の著しい低下がみられ、特に背屈運動における力-速度関係の低下は、機能低下に加え形態的な低下をもたらすことが示唆された。
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58^<th> Conference of Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences
57^<th> Conference of Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences
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