(平成17年度) 脱神経後低酸素暴露したラット頚動脈小体の形態変化:舌咽神経、舌咽神経と交感神経および舌咽神経、交感神経および副交感神経切断後に低酸素暴露したラット頚動脈小体の形態変化を比較検討した。1)舌咽神経と交感神経を切断後に低酸素暴露した頚動脈小体は血管拡張を伴い有意に肥大した。2)舌咽神経を切断後に低酸素暴露した頚動脈小体と舌咽神経、交感神経および副交感神経を切断後に低酸素暴露した頚動脈小体には頚動脈小体には有意な肥大は認められなかった。3)頚動脈小体内の血管の拡張率は、舌咽神経、交感神経および副交感神経を切断後に低酸素暴露した頚動脈小体のみで顕著な拡張が見られた。これらの結果は、低酸素環境下における頚動脈小体の肥大ならびに血管の拡張には、交感神経支配と副交感神経支配のバランスが関与している可能性を示している。 (平成18年度) 高血圧自然発症ラット(SHR)頚動脈小体の形態学的特徴:高血圧自然発症ラット(SHR)の頚動脈小体について、その小体内血管の径を組織計測するとともにペプチド性神経線維の分布を調べ、その形態学的特徴を対照群ラット(NWRおよびWKY)と比較検討した。1)SHRの頚動脈小体はNWRおよびWKYに比べ大きく、長径で約1.3倍(P<0.05)大きかった。2)SHR頚動脈小体は肥大しているが、小体内には拡張した血管の割合は低く、その割合いはNWRとWKYに比べ差は認められなかった。3)SHR頚動脈小体内のSP、CGRPおよびNPY線維は、血管周囲および化学受容細胞間に認められ、その分布様式および密度はNWRとWKYと同様であったが、VTP線維は低かった。これらの結果から、SHRの頚動脈小体における肥大のメカニズムはこれまでに報告されている低酸素暴露ラットの頚動脈小体の肥大メカニズムとは異なるものと考えられる。
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