【平成17年度】「目的」身体運動が精神的ストレスによる神経細胞死に抑制効果を持つか否かについて検討した。「方法」血中Insulin like growth factor-1(IGF-1)の低下したLIDマウスを以下の3群に分けた。(1)通常の飼育ケージを6分割したゲージ(6分割ゲージ)で飼育することにより継続敵な精神ストレスを負荷して4週間飼育した。(2)6分割ゲージで飼育しながら、1日1時間、週に5日のトレッドミル走を負荷した。(3)通常の飼育ゲージにて飼育した。4週間の飼育期間終了、ウォーターメイズテスト(WMT)によりマウスの学習・記憶力を測定した。「結果」継続的な精神ストレス状態はLIDマウスの学習・記憶力を有意に低下させたが、運動負荷はこの低下を抑制した。 【平成18年度】「目的」身体運動による記憶学習能力の低下抑制にIGF-1が関係するか否かを検討した。「方法」C57BL/6マウスを以下の4群に分けた。(1)ストレス群:1日に6時間の拘束ストレスを負荷し、6分割ケージで飼育した。(2)運動群:ストレス群と同じ拘束、飼育条件で、更に1日1時間、週に5日のトレッドミル走を負荷した。(3)JB-1(IGF-1 receptorの阻害剤)群:運動群と同じ条件で、更に体内に内蔵したosmotic pumpによりJB-1の持続的投与を行った。4週間後にWMTによりマウスの学習・記憶力を測定した。「結果」4週間のストレス負荷はマウスの学習・記憶力を有意に低下させたが、運動負荷マウスでは低下が抑制された。しかし、JB-1投与は身体運動による学習・記憶力の低下抑制を阻害した。 【まとめ】持続的な精神的ストレスはマウスの学習・記憶力を有意に低下させたが、身体運動はこの低下を抑制した。そして、運動による低下抑制には脳内へのIGF-1の取り込みが関与することが示唆された。
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