研究概要 |
トレーニングに伴って向上したからだの機能はトレーニング停止後どの程度の期間持続するか明らかにする目的で循環調節に中心的な役割を果たす交感神経活動をトレーニング前、後、及びトレーニング停止1年後まで追跡した。健康な成人を対象に前腕のレジスタンストレーニングを週5日、4週間行い、それに続くトレーニング停止4週、8週、1年後に、疲労困憊に到る静的ハンドグリップ運動および運動後阻血時の筋交感神経活動反応を測定した。筋交感神経活動はタングステン針電極を用い、脛骨神経より直接記録した。 以下の結果が得られた。 1.運動時の筋交感神経活動は経過時間に比例して活発になり、疲労困憊で最高に達した。運動後阻血時の反応は運動時より僅かに低下したが、安静より高い活動が維持された。 2.疲労困憊時の筋交感神経活動反応はトレーニング後、トレーニング前値より増加した。しかし、運動後阻血時の反応には変化はみられなかった。 3.トレーニング停止直後に比べ停止4週後の疲労困憊時の筋交感神経活動反応は低下したが、トレーニング停止8週および1年後の反応はともに差は認められず、トレーニング前値と等しくなった。運動後阻血時の反応はトレーニング前、直後、トレーニング停止4,8週及び1年後を通して差は認められなかった。 運動時の交感神経活動亢進は主にセントラルコマンドと筋からの反射によるが、運動後阻血時の筋交感神経活動亢進は活動筋反射が主体となりこの効果はレジスタンストレーニング及びトレーニング停止により変化しないことが確かめられた。これに対しセントラルコマンドによる運動時の交感神経活動充進はトレーニング後高まり、その効果はトレーニング停止4週後には消失することが明らかとなった。
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