研究概要 |
指定管理者制度の成否を握るのは、優れた事業計画でも、豊富な実績でもなく、人材、施設、そしてファイナンスのマネジメントができる「施設管理マネジャー」の存在である。そこで本調査では、施設管理運営者養成カリキュラムの策定を目指し、指定管理者制度に携わる専門家を対象として、指定管理者制度において将来的に必要とされる「施設管理運営者の能力と資格」に関する基礎的データを得ることを目的とした。1次調査では、全国の行政、財団、第三セクター、民間企業、NPO法人における組織本部の企画立案部門の専門家から現場担当者までの作為的に選んだ516人を対象に、郵送法による質問紙調査を実施した。調査期間は、2006年2月中旬〜3月中旬であり、回収率は28.29%であった。その後、1次調査の結果からさらなる意見の集約を図るため2次調査を行った。対象は、1次調査回答者の146人で、調査期間は2006年10月下旬〜12月上旬、回収率は47.9%であった。2次調査においては、1次調査の結果を示した上で、同じ回答者に同じ質問形式で回答を依頼して意見集約を図る「デルファイ法」を用いた。その結果、組織マネジメントに必要な能力として、コンプライアンス等・リーガルリスク,および未然に事故を防ぐことを含んだ「リスクマネジメント」、様々なステークホルダーとの「コミュニケーション能力」、適正な人事配置能力があるかどうかの「人事マネジメント能力」、そして能力というよりもテクニカルなことではあるが、「コストマネジメント力(財務管理力)」の4つがあげられた。また、施設運営に必要な専門資格としては、スポーツ関連資格と救急・防災関連資格に二分される結果となった。マネジャーには、これら両方に関する基礎的な知識を持つことが必要とされ、それらを客観的に表す資格が重要であることが判明した。
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