わが国では、平成18年度より、公共施設の民営化を見据えた「指定管理者制度」が導入され、一定の成果を挙}ながらも、誰が新しい制度のもとで公共施設を管理経営するのかという「専門家の養成」という視点と、「養成カリキコ.ラムの作成」といった具体的な議論は後回しにされてきた。その背景には、指定管理者に求められる業務の具体的内容や、必要とされる資格等、経験的な知識の絶対的不足という問題が横たわっている。そこで本研究では、指定管理者制度を運用するスポーツマネジャーの養成カリキュラムの開発を目的とした。施設メンテナンス能力については、必要度の高い順に「防災・救急・安全管理」、「プール水質管理」、「維持・営繕管理」となり、関係する資格としては、「甲種防火管理講習修了者」、「プール衛生管理者」、「自動対外式除細動器(AED)受講者」という回答であった。組織マネジメント共通能力については、重要度の高い順に「予算策定とコストのマネジメント(予算の策定)」、「企業倫理とコンプライアンス(諸ルール・法令の内容の把握)」、「企業倫理とコンプライアンス(法令・レールの遵守)」となった。また組織マネジメントの専門能力については、重要度の高い順に、「スタッフマネジメント・効果的な人員配置能力」、「リスクマネジメント」、「経営的なマインド・全体をみる能力」、「地域・学校・NPO・競技団体との関係構築力」、「救急・事故・防災対応能力」が回答され、関係する資格に関しては、「体育設管理士」、「体育施設運営管理士」、「上級体育施設管理士」の3つが示された。これらは、今後の指定管理者制のマネジャー・養成カリキュラム開発の基礎的データとしての活用が期待される。
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