研究概要 |
コンタクトスポーツにおける筋損傷と無気的パワー・筋力の間欠的発揮能力との関係を検討することを目的に、最終年度の平成20年度は、休息中に人間打突を入れた間欠的スプリント走能力と有酸素性作業能力との関連性について検討した。 休息中のボディコンタクト法については、より現場的なケースを想定し、4m天井から吊した縄に体重75kgのヒトを捕まらせ、2m先から放たれた振り子により鉛直時に被験者が受け止める方法で行った。ちなみに、被験者への衝撃度は264N・sになる。間欠的スプリント走は、我々の作成した20mを往復ダッシュし20秒間の休息を挟んで8セット繰り返す方法(以下ISST)で、休息中にボディコンタクトを入れた方法をISST CFとした。有酸素性作業能力測定法は、J.Bangsbo作成のyo-yo intermittent endurance test(以下yo-yo IE)を行い、休息中にボディコンタクトを入れた方法をyo-yo IE CFとした。対象を、男子ハンドボール選手とした。 yo-yo IE CFでの走行距離はyo-yo IEでのそれよりも低値となったが、両者に有意な正の相関関係がみられた。一方、ISST CFでの速度低下率もISSTでのそれよりも大きな低下となったが、両者には何ら関係はみられなかった。なお、ISSTでの速度低下率が少ない被験者ほどyo-yo IEでの走行距離が高い傾向を示したことは、従来の結果を支持するものとなったが、興味深いのはISST CFでの速度低下率が少ない選手ほどyo-yo IEでの走行距離が有意に少ない(r=-0.631,p<0.02)点である。また、ISST CFでの速度低下率が少ない選手ほどベンチプレスでの最大筋力が有意に高い(r=0.617,p<0.02)点もさらに興味深い結果となった。すなわち、ボディコンタクトを入れた間欠的走能力には、有酸素性作業能力よりも筋力に優れることの必要性が示唆された。
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