研究概要 |
バレーボール集団に関する研究(遠藤俊郎および研究協力者下川浩一)がまとめられた.大学生バレーボールチーム成員男子314人,女子160人,総計474人を対象とし,集団規範の実態の把握と,競技水準による違いがあるかを明らかにした.その結果、集団規範は、男子においては,競技水準が高いほど運動部の規範は厳しくなることが明らかとなった.女子においては,2部所属選手が「態度規範」・「業績規範」・「生活規範」で3部所属選手よりも高い値を示し,1〜3部間では競技水準との関係は認められなかった. また,男子・女子においても上下序列規範の値が低く,先輩・後輩の区別がないことが示された.社会的アイデンティティ項目では、男子においては,1部所属選手は7部・8部所属選手より好意的であり、本研究では1部・2部は評価が高く集団帰属意識が高いことが推定できた.女子において,1部所属選手は2部所属選手よりも評価は高く集団帰属意識は高いことが推定できたが,2部所属選手が3部所属選手よりも低い評価をしたため1〜3部間での競技水準との関係は明確にはならなかった.競技水準と社会的アイデンティティの関連は、男子では示されたが、女子については明確ではなかった. スポーツ集団の社会的アイデンティティについて一高校と大学の集団イメージの違い-(阿江美恵子、遠藤俊郎、三宅紀子日本スポーツ心理学会第33回大会ポスター発表)では、集団の社会的アイデンティティという指標を用いて、競技スポーツ集団として高校と大学のデータを紹介し、それぞれの集団に対するイメージの違いを明らかにすることを目的とした.体育系女子大学生107名を対象とし、形容詞20個を用い、大学のスポーツ集団と高校のスポーツ集団の好ましさを評定させた(7段階評定尺度).高校と大学の得点を比較すると.高校のほうが評価が高かった.高校のスポーツ集団についてのイメージを競技成績別にみると、上位校(県大会上位以上)58名、中位校(県大会中位)31名、低位校(弱い)8名であったが、低位校の人数は少ないが、評価が低かった.高校と大学では、高校のイメージがより好意的であった.これは対象者のほとんどが大学1年生で、高校の部活動と大学の部活動の違いを実感しているからではないかと考えられ、大学の運動部のつめたさ、信頼できない、という不信が見て取れる.競技成績が集団についての評定に影響するかは、明確ではなかったが、成績が低ければ集団帰属意識も低下する傾向は推定できた. 社会的アイデンティティを測定することで、集団に対するイメージをとらえることができた.次年度では、国際比較を計画している.
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