・疾走速度維持能力がパフォーマンスに強い影響を及ぼす球技(特にサッカー、ラグビー、ハンドボールおよびバスケットボール)に焦点をあて、「連続した折返し走」を実施することで、能力把握のために有用な測定項目のひとつを提示することができた。具体的には、幅広い競技レベルの選手を対象として有酸素能力を評価する為のシャトルランと同じような設定となる「連続した折返し走」を、最大疾走速度を維持する運動として行わせ、スピード持続能力を評価するための基礎的資料を得ることができた。 実験:15m区間を連続して8往復半するトータルタイムを測定し、その際に「ラン・タイム」と「ターン・タイム」に区別し測定した。 ・競技レベルにより測定したトータルタイムには有意差が認められた。しかし「ラン・タイム」は競技レベルによる差はなく、「ターン・タイム」の差がトータルタイムに大きく影響していることが判明した。「ターン・タイム」のなかでも、前半部分(減速局面タイム)の差はなく、後半部分(加速局面タイム)の差が大きく影響していることが明らかとなった。 ・折返し動作に関する三次元的解析を行うことにより、運動効率のよい折返し動作を解明した。 折返し1歩前に左膝関節を素早く屈曲させることで身体重心速度を減速させることが重要だということが判明した。この動作が、続く加速動作(左膝関節の素早い伸展)にスムーズに移行させる重要なポイントであった。
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