研究課題
大学生のひきこもりは、休学、退学、留年といった就学状況の問題として表れることが多い。研究代表者は「大学における休・退学、留年学生に関する調査」を行い、20年前に比べると全体として増加傾向にあるという結果を得ている。最近はどれもやや減少傾向にあるとはいえ、スチューデントアパシー状態でひきこもる学生の数は相当である。ある地方国立大学での休学者のうち、休学理由が「留学」「入院」以外の学生に質問紙、および面接調査を行った。授業に満足していない学生が多く、約4分の1は大学1年次の取得単位が20単位以下であった。親子関係については、父親・母親ともに「冷淡と干渉」タイプの育てられ方をされたと感じている群と、「情愛と自律承認」と感じている群が多い。精神的健康については、SDS得点から半数以上は軽度以上の抑うつ状態と見られる。また、この1年間で自殺したいと思った人の中で、実際に自殺を試みた人は約4割いて、3割は、自殺について今も考えている。自分の状況を否定している人の方が多い。「就学・就労支援の充実」「病気のことを話せる場」「見守ってくれる人」を求めている。研究代表者が行った大学生の死亡調査では、死因の第一位を自殺が占める状態が続いており、休学、留年者にそれが多いという結果が出ているが、今回の休学者への調査においても、リスクの高い集団であることが更に明らかになり、調査結果はその対応策にも役に立つものとなった。アメリカで開発されたSAHA質問紙調査の改訂版を作成し、首都圏の中学生を対象にして、青少年を取り巻く社会心理的状況について調査を行った。生徒は、学校を安全でプラスイメージの場所で、許可なしに休んではいけないと考えていることがわかった。しかし精神的には、不安や抑うつ感を抱いて、自信のない生徒も多い。自殺念慮についての質問は削除されたが、自分自身にネガティブな感情を抱く生徒が多いことが、自殺念慮につながる可能性があり注意を要する。また、1年間に4回以上はバカにされたりいじめられたりしたと感じている生徒が約30%いた。米国の状況と比較検討を行った。青年期思春期の自殺予防、危機介入、ポストベンションの米国での研究や実践活動の調査も行った。
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