研究概要 |
1 認知的スキルを活用した保健授業のモデルづくり 高等学校科目保健の「生涯を通じる健康」領域の「思春期と健康」「結婚生活と健康」を題材として,認知的スキルを活用した保健授業を開発した。その際には,教科としての基本的な内容である「思春期における心身の発達や健康問題について,特に性的成熟に伴い,心理面行動面が変化することを中心に理解できるようにする」「健康な結婚生活について心身の発達や健康状態など保健の立場から理解できるようにする」などを押さえながら,同じく学習指導要領解説に示された「性に関する情報への対処」や「適切な意志決定や良好な人間関係」に対応するために「性に関わる問題解決に取り組むスキル」「性に関わる思考のコントロール」などの認知的スキルに関わる内容を入れた。 2 認知的スキルを活用した保健授業の実施と評価 協力校において,準実験的デザインを用い,授業を実施し,その評価を行った。授業群は3クラス,対照群は4クラス設定した。事前調査においては,認知的スキルに関する調査とともに授業内容に関する調査も実施した。事後調査では,認知的スキルに関する調査,授業内容に関する調査を実施し,さらに授業に関する感想などを聞くことにより,授業の過程に関する評価を実施した。さらに,授業終了3ヶ月後に,追跡調査として,認知的スキルに関する調査を実施した。 3 調査の結果 授業群において,認知的スキルの尺度である自己管理スキル尺度に対照群を有意に上回る得点の伸びが見られ,授業は認知的スキルを育成する上で有効であること,保健学習の範囲においても認知的スキルの育成は可能であることなどが明らかになった。また,性に関わる態度や知識に関しても肯定的な変化が見られた。 4 認知的スキルを育成する教育手法の検討 小・中・高等学校の教師及び健康教育研究者による研究会を4回開き,認知的スキルを育成する教育手法の分類・整理などに関して検討を行った。
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