研究概要 |
1 認知的スキルを活用した保健授業の評価とその結果の発表 高等学校科目保健における「思春期と健康」「結婚生活と健康」を題材として,認知的スキルを活用した保健授業を開発した。 協力校において,準実験的デザインを用い,授業を実施し,その評価を行った。授業群は3クラス,対照群は4クラス設定した。事前調査においては,認知的スキルに関する調査とともに授業内容に関する調査も実施した。事後調査では,認知的スキルに関する調査,授業内容に関する調査を実施し,さらに授業に関する感想などを聞くことにより,授業の過程に関する評価を実施した。さらに,授業終了3ヶ月後に,追跡調査として,認知的スキルに関する調査を実施した。 その結果,授業群において,認知的スキルの尺度である自己管理スキル尺度に対照群を有意に上回る得点の伸びが見られ,授業は認知的スキルを育成する上で有効であること,保健学習の範囲においても認知的スキルの育成は可能であることなどが明らかになった。また,性に関わる態度や知識に関しても肯定的な変化が見られた。 この結果を学校保健の中心的学術雑誌である「学校保健研究」に投稿し,「原著」として掲載された。 2 認知的スキルを育成する学習活動の検討 小・中・高等学校の教師及び健康教育研究者による研究会を計9回開き,認知的スキルを育成する学習活動などに関して検討を行った。その際,自己管理だけでなく,対人場面においても活用できるようなスキルの育成に関しても検討を加えた。 3 対人場面での認知的スキルも育成する保健授業の開発 検討した学習活動をもとに高等学校保健の他領域において対人場面での認知的スキルも育成できるような授業案の開発を行った。また,次年度に向け小人数グループへの介入の可能性も検討した。
|