本年は、(1)大正期〜昭和初期(第二次大戦前)にかけての保健室の実態と学校看護婦の仕事の様子をとらえるための史料の収集とインタビュー、および(2)第二次世界大戦後初期(10数年)の子どもたちの健康実態と養護教諭の仕事の様子をとらえるための元養護教諭へのインタビュー調査を行うとともに、(3)養護教諭の実践構造をとらえるための研究方法の試論的考察を行った。 (1)については、○千葉県野田市野田中央小学校教育博物館所蔵の学校保健関係資料の複写・撮影、○岐阜大学付属図書館所蔵の雑誌『岐阜県教育』、群馬県立図書館所蔵の雑誌『新上野』における学校保健関係記事の複写、○山形大学付属図書館所蔵の雑誌『養護』における学校看護婦の実践報告記事の複写、○筑波大学付属体芸図書館所蔵の昭和初期に発行された雑誌『学校衛生』および東京大学所蔵の『日本学校衛生』における保健室および学校看護婦関係資料の複写、ならびに、○大正期に山形市で学校看護婦をしていた元養護教諭へのインタビュー、などを実施した。現在、これらの史資料を整理中である。 (2)については、舞鶴市において第二次大戦中あるいは大戦後まもなく養護教諭をされていた元養護教諭8名に対して、大戦中・大戦後の子どもたちの様子、学校の状況、養護教諭としての仕事の概要などについてのインタビュー調査を行った。現在、そのマニスクリプトの作成中である。 (3)については、2005年10月に仙台市で開かれた第52回日本学校保健学会において、「養護教諭の実践理論生成の方法(試論)」の発表を行い、養護教諭の実践の構造的把握とその理論化に向けての方法を試論的に論じた。
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