老化に伴い骨格筋に萎縮が生じて、それに伴い筋力や筋持久力が低下する。しかしながら、骨格筋が萎縮していても大きな筋力を発揮できたり、持久力に優れている高齢者が認められる。したがって、高齢者の筋力や筋持久力は、骨格筋の容量だけで規定されているのではないと考えられる。本研究では、高齢期の筋力と筋持久力が血流量とどのような関係にあるかを明らかにすることを目的とした。さらに、50歳代から70歳代の男性と女性を被験者にして、6カ月間の筋力または筋持久力トレーニングが筋力、筋持久力、血流量にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とした。30歳代(対照群)、50歳代、60歳代、70歳代の男性(各年代15名から20名)と女性(各年代20名から25名)を被験者に用いた。筋力装置を使用して被験者の肘関節及び膝関節の最大努力での屈曲・伸展時の筋力を測定した。同様に、最大努力の60%での肘関節及び膝関節の屈曲・伸展時の筋持久力を測定した。筋力及び筋持久力の再現性を検討するために、すべての測定は1週間の間隔を経て2度測定した。各被験者の血流量を超音波双方向血流計(日本光電SD-50EX-F)により測定した。すべての測定は1週間の間隔を経て2度測定した。男性、女性ともに老化に伴う筋力、筋持久力、血流量の減少が認められた。また、6ヵ月間の筋力または筋持久力トレーニングによる筋力、筋持久力、血流量の改善は認められなかった。今後は、運動強度や持続時間を変化させて再検討する予定である。
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