研究課題/領域番号 |
17500475
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
増田 彰則 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 客員研究員 (10347099)
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研究分担者 |
小牧 元 国立精神・神経センター, 心身医学研究部, 部長 (70225564)
平川 忠敏 鹿児島大学, 大学院医歯学総研究科, 教授 (30124853)
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キーワード | 家庭内逆境体験 / 家庭外逆境体験 / 心身症 / 問題行動 / 学校不適応 / 大学生 |
研究概要 |
小児期に受けた家庭内及び家庭外での逆境体験が、その後のうつ病や自殺企図、摂食障害の発症危険因子になっていることはすでに欧米で報告されているが、わが国ではまだない。そこで、家庭内の逆境体験として、(1)両親間の暴力、(2)親からの身体的及暴力、(3)親からの精神的暴力、(4)家族の病気、(5)親から可愛がられた体験、(6)両親の離婚または別居、(7)家庭崩壊の7項目で、家庭外の逆境体験として、(1)先生や級友からの身体的暴力、(2)先生や級友からの贔屓や無視などの精神的暴力、(3)小学校でいじめられた体験、(4)中学校でいじめられた体験、(5)性的いたずらの5項目で評価した。そして、これらの項目と思春期・青年期の病気発症や問題行動、学校適応に及ぼす影響について検討した。対象は大学に通学している日本の学生1592名(平均年齢20歳)で、自己記入式質問紙で答えてもらった。 18歳までの病気既往については心身症14.8%、アレルギー疾患38.3%、睡眠障害6.5%、うつ気分9.0%であった。問題行動では、自傷行為7.5%、自殺企図10.0%、家庭内暴力5.5%、摂食行動異常5.3%にみられた。学校での適応が不良である生徒の割合は、小学校6.7%、中学校9.5%、高校9.7%であった。家庭内及び家庭外で経験した逆境体験数が多いほど病気発症、問題行動、学校適応不良の割合は有意に高かった。家庭内逆境体験は、うつ気分、自殺企図、学校不適応、自傷行為の順に高い危険率であった。家庭外逆境体験では、自殺企図と学校不適応に対して高い危険率になった。 以上の結果より、家庭内・外の逆境体験が若者の病気発症や問題行動、学校適応に強く影響していることがわかった。若者の健全な心身の発達をはかるには、幼小児期に受けた家庭内・外の逆境体験に注目して対策をとる必要がある。
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