生活習慣病あるいは予備軍の疑いのある成人女性20人(40〜59歳)を対象にした。体重、身長、血圧、ウェスト周囲径、食事内容の調査などの基礎データを取った後、採血した。血漿中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール、血糖値の測定以外に血栓傾向の指標として血小板凝集計を用いたコラーゲン刺激などによる血小板凝集能の測定、フローサイトメトリを用いた生体内における血小板活性化の指標として血小板P-セレクチン発現量および単球・血小板複合体量の測定、血小板コラーゲン受容体に関する指標として血小板膜ラフト内コレステロール量、血小板膜ラフト内GPVI発現量の測定などを行った。ウェスト周囲径は90cm以上だけでなく90cm未満の対象者も含めてコラーゲン刺激血小板の凝集率と有意な正の相関を示した。被検者の食物摂取量は6.6g/1000kcalと全国平均よりも少なかったが食物摂取量とHDLコレステロール値との間には有意な正の相関が見られた。一方で中性脂肪値は有意ではなかったが低下傾向を示した。中性脂肪値は一日の総エネルギー摂取量との間では相関を示さなかったが、間食の摂取量との間で有意な正の相関が得られた。血小板膜ラフト内コレステロール量と血漿中総コレステロール値との間では有意な負の相関が見られたが、他の指標との問で有意な相関は認められなかった。血小板膜ラフト内GPVI発現量とコラーゲン刺激血小板の凝集率や他指標との間の関係、および血小板P-セレクチン発現量や単球・血小板複合体量などとの関係については血栓傾向の指標としてこれらの検討項目の中で単球・血小板複合体量が最も鋭敏であるとの結果を得た。これらの測定値において異常を示した対象者が食生活指導後改善を示していくことが確認された。特に血栓傾向の改善において食生活指導の重要性が示唆された。
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