平成19年度までの研究から、多チャンネル近赤外線分光法を使ったインターバル速歩中の脳活動計測では、高齢者の場合、インターバル速歩に慣れない人たちでは、速歩>通常歩行、で速歩の方が前頭部での酸素ヘモグロビン量が増し、慣れた人たちでは、通常歩行>速歩、であった。そこで平成20年度は、インターバル速歩中と通常のウォーキング中の脳活動をより詳細に明らかにすべく、インターバル速歩を行っていない20代学生を対象として、1)インターバル速歩中の速歩時と通常歩行時の脳活動の比較と、2)30分間の通常ウォーキングとインターバル速歩の比較を行った。なお、実験はトレッドミル上で行い、fNIRStation(島津製作所)を左右の前頭葉・頭頂葉にセッティングとして実施した。 その結果、20代学生ではインターバル速歩に慣れた高齢者と同じく、通常歩行>速歩、となり、二回目ではよりその傾向が増した。また、30分の比較でも、通常ウォーキング>インターバル速歩、の傾向があり、通常のウォーキングの方が特に右前頭側頭部で活性化した。これまでの計測では、漸次負荷を増していく条件では、一端前頭葉活動が低下するが、40%強度を超えるあたりから活性化し始めており、インターバル速歩では負荷のかかる速歩時の方が脳活動が増しやすく、また、ウォーキングよりインターバル速歩の方が増しやすいのではないかと考えてきた。しかし、今年度の結果から、速歩になるとより脳が自動化をすすめ、むしろ通常ウォーキングの方が脳が活性化しやすいのではないかと思われた。
|