本研究の目的は、10年間にわたる経過観察結果から、運動習慣を含めた日常生活様式が周閉期女性の骨量に与える影響の違いを明らかにするとともに、この時期の骨代謝回転動態と生活習慣との関係について総括することである。特に、周閉期に定期的な運動習慣を維持した場合と維持できなかった場合に差異は生じるのか、また運動を習慣化できなかった場合に再習慣化の効果は認められるのかを明らかにする。そして、閉経後の骨粗鬆症の予防にとって有効な生活習慣のあり方について提言することを目指す。本年度は周閉期女性42名を対象として、1)運動負荷試験、2)骨密度の測定、3)身体活動量の測定、4)生化学検査、5)運動指導を行った。 運動負荷試験によって得られた最大酸素摂取量、無酸素性作業閾値(AT)などの生理的諸指標は閉経前群が閉経後群に比べて高く、また運動群が対照群に比べて高い傾向を示し、閉経の有無に関わりなく運動の継続が呼吸循環器系機能に好影響を与えることが示唆された。骨密度測定の結果も同様に、SOS(超音波伝導速度)、BUA(超音波減衰係数)、Stiffnessともに閉経前群が閉経後群に比べて高く、また運動群が対照群に比べて高値を示した。これはオステオカルシン(BGP)やALP(アルカリフォスファターゼ)、I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)などの骨代謝関連生化学指標からも裏付けられた。今後は運動習慣と血清脂、そして芳香化現象との関連についても検討を進めたい。 身体活動量の算定と身体活動強度区分については現在検証中であるが、追加実験の必要性も考慮している。また、運動指導については、現在指導中であり、終了時を待って検証をする予定である。
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