本研究は、10年間にわたる経過観察結果から、運動習慣を含めた日常生活様式が周閉期女性の骨量に与える影響の違いを明らかにするとともに、この時期の骨代謝回転動態と生活習慣との関係について総括することを目的とする。本年度は、運動習慣を含めた日常生活様式が周閉期女性の骨量に与える影響の違いを明らかにするとともに、この時期の骨代謝回転動態と生活習慣との関係について明らかにすることを目的として、1)運動指導、2)骨密度の測定、3)身体活動量の測定、4)生化学検査を行った。対象とした周閉期女性は、我々が指導しているスポーツ医科学研究プロジェクトの参加者(ボランティア)であり、定期的な運動習慣を有する運動群、これまでに運動習慣を有していたが、何らかの理由で現在は運動習慣を有しておらず、本研究で運動指導を受けている運動復帰群、運動習慣を有さない対照群の3群で、合計93名であった。 運動復帰群に対して、週1回・1回あたり90分の有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた複合トレーニングの指導を行った。骨密度測定の結果、運動復帰群のSOS(超音波伝導速度)、BUA(超音波減衰係数)、Stiffnessともに、閉経の有無に関わらず運動指導後が指導前に比べて高値を示した。オステオカルシン(BGP)やALP(アルカリフォスファターゼ)、骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)、1型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)など血液生化学検査による骨代謝関連生化学指標においても骨強度の増加を裏付ける結果が得られた。身体活動量、運動習慣と血清脂質・芳香化現象との関連については現在検証中である。
|