研究概要 |
当初の予定通り、平成17年度は平成18年度調査のための予備試験と被験者を募るためミーティングを主に行った。すなわち、少数の被験者を募りパイロット・スタディを行って、平成18年度の調査を効率的なものとするよう仮説を立て、健康診断時の研究調査への協力者を募るために複数の産業医とミーティングを行い、協力関係を築いた。 1.某クリニック検診部の健康診断の責任者および当日の担当者、A株式会社産業医、B株式会社産業医に研究の内容を説明し、協力を得られそうなため、被験者の募り方・調査時期・対象者・作業の流れなどについて具体的に話し合い、平成18年度定期健康診断時に調査を行うことのできるようミーティングを繰り返した。また、調査内容に関しては研究者間で具体的な調査方法を検討した。 2.10名の大学生被験者を募り、急性の心理的ストレスを負荷し、その前後(安静時、ストレス負荷直前、ストレス負荷直後、ストレス負荷後30分)でだ液を採取し、その中の微弱発光(物質の酸化的状態を表すとされるフォトンからの発光量)を測定し、既存の急性ストレス・マーカーと言われるだ液中分泌型IgA(sIgA)と比較・検討した。その結果は、Kuniaki Takagi, Tsuyoshi Hasunuma, Nobuhiro Goi, Hitoshi Harada, Akira Ikari, Mitsuo Hiramatsu, Kimitsugu Nakamura, Hirohito Tsuboi*. The Effects of Performance Anxiety on Salivary Ultra-Weak Chemiluminescence. Stress and Health.2005;21, 263-268.に示されたとおり、ストレス負荷により微弱発光とsIgAは一時的に増加し、それらは同じパターンを示した(two-way repeated measures ANOVA)。 3.大学生・大学院生を10名ほど募り、抑うつ状態になったことのあるライフイベントを想起してもらい、だ液をその前後(安静時、想起直前、想起直直後、想起後30分)にだ液を採取した。抑うつの測定は、the Center for Epidemiological Studies Depression Scale(CES-D)を用いた。だ液成分の測定とその他の指標の解析は平成18年度に行う。
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