主要設備であるタバコ自動喫煙装置(ハンブルグII)を用いて、C57BL/6、雌、8週齢マウスに一定量、一定期間(10日間)、モニターNo.2リファレンスタバコを喫煙させ、喫煙マウスを作製した。喫煙後、マウスを麻酔死させ、主気管支を露出後注射器で主気管支内にPBSを1ml注入し回収する操作(気管支肺胞洗浄法)により肺胞マクロファージを採取し、サイトスピン標本を作製し、メイ・ギムザ染色を行ったところ、99%が肺胞マクロファージであった、調整した肺胞マクロファージ浮遊液の一定濃度をFACSでDot plot解析し、細胞サイズ(FSH)と細胞内構造の緻密さ(SSC)により、肺胞マクロファージがタバコ煙に曝露されていることが確認され、同時に抗原提示などの免疫反応に関係した肺胞マクロファージの細胞表面抗原であるClassII、CD11b、CD14などの発現が、喫煙により影響を受け抑制されていた。肺胞マクロファージが、喫煙により影響を受けていることが確認されたことより、採取した肺胞マクロファージを、24時間試験管内で非刺激、LPS刺激培養後、サイトカイン遺伝子への影響を検討した。IL-1β、TNA-αのmRNA発現が、喫煙により減少していることが認められた。現在、染色体への影響について正常マウスから、リンパ球を分離後、ConAにより分裂刺激を行い、染色体標本を作製している。さらに、肺胞マクロファージの遺伝子損傷を検出する条件が基礎検討により決定したので、今後、喫煙により肺胞マクロファージのDNAが損傷を受けている可能性について検討するとともに、DNAを抽出し、遺伝子、染色体への異常について検討を加える予定である。
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