本年度の研究として、健康都市づくり活動を展開している3地域での聞き取り調査と全国1816区市町村の健康づくり担当者に対する郵送調査を行った。 まず、事例としては、千葉県市川市、船橋市、東京都荒川区を選定し、それぞれの都市の健康づくり担当者に半構成的手法による聞き取り調査を行った。市川市は、2004年度から健康都市プログラムを実行中であり、「市川市健康都市庁内推進会議」を設置し、全庁的推進体制を敷くと共にWHOの健康都市プロジェクトのための地域ガイドラインに沿い、かつ独自の施策を開発して展開している。さらに、健康都市連合(The Alliance for Healthy Cities)に加盟し、2008年度に市民を含めた国際会議を予定している。船橋市は、「ふなばし健やかプラン21」において、全体的環境整備やライフステージ別の課題解決などの側面から保健センターや健康増進センターを拠点に健康づくり事業を展開している。荒川区は、「生涯健康都市あらかわ」の実現を目指し、地域ぐるみの健康づくり推進を展開しているが、とりわけ、「健康応援店」活動は市民参加の例としてユニークであった。つぎに、全国市区町村調査は健康日本21の市区町村における展開状況や住民参画、健康都市づくり施策や健康都市宣言やその内容、健康都市づくり推進力等の把握を目的として実施した。回収率は40.2%。主な結果としては、「健康日本21」地方計画は、ほぼ半数の市区町村で策定されていたが、未策定も4割程度見られた。また、策定に当たっては、多様な住民が関与していることが示唆された。また、健康日本21が展開されても健康づくりとしては十分でないと捉えている担当者が多く、住民にあまり理解されていないと捉えていた。健康都市宣言をしている自治体は2割程度見られたが、その内容は多様であるが、住民総意として健康づくりを積極的に進める意思が読み取れた。
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