研究概要 |
本年度の研究実績は,まず第1にThe 12th International Congress of Biorheology (ICB) and the 5th International Conference on Clinical Hemorheology (ICCH)において「Do the 4 weeks of walking exercise improve the blood fluidity?」という演題で口頭発表を行ったことである(資料1).これは,4週間の歩行運動が,血液流動性にどのような影響を与えるのかを検討したものである.被験者は,運動期間中は,平均1日120キロカロリーの運動量を増加させた。トレーニング開始後2週目の測定では,開始前と比較し全血通過時間は有意に低下し血液流動性は改善したことが示された.この結果から,非運動群の一般壮年男性を対象とした場合,人々の健康増進に対して歩行運動の実践は,血液流動性の観点からも有効であることを発表した.さらに,同研究に用いた測定装置(日本で新たに開発されたMC-FAN)が,血液流動性を評価する方法として有用であることも国際学会の場で示すことができた. 第2に,日本ヘモレオロジー学会誌へ原著論文(資料2)「健康増進を目的とした至適運動条件の基礎的検討-血液流動性のサーカディアンリズムに着目して-」を発表したことである.これは,健康増進のための運動実施方法として,1日の中でより適切で安全な運動実施のためのタイミングを検討するため,サーカディアンリズムと血液流動性の関係を検討したものである.血液流動性の指標である全血通過時間は,起床後の朝食前では最大値を示し,その後順次低下することが示された.この結果から,早朝の朝食前の運動実施には注意が必要であり,健康増進を目的として運動を行う場合,朝食後や午後に運動を行うことが推奨されるということが示された.
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