研究概要 |
[目的]加齢や性ホルモンの低下に伴って、骨組織が運動刺激に対する反応性が低くなる可能性が指摘されている。男性ではアンドロゲンが骨形成に重要な役割を持っているが、骨吸収においてはエストロゲンがより重要な役割を果たしているとの報告がある。現在、選択的エストロゲン受容体修飾因子(SERMs)が高い関心を集めているが、我々は大豆イソフラボンが"植物性SERM"である可能性を示唆してきた。本研究では、歩行運動および大豆イソフラボン摂取が男性の骨代謝および脂質代謝に対する影響を検討する。[方法]55歳〜75歳の男性約50名を募集する。試験は当研究所「人を対象とする実験・調査等に関する倫理指針」に基づくとともに,十分なインフォームドコンセントを行なった上で開始する。[試験群]上記被験者を無作為に1)対象群、2)イソフラボン摂取群、3)運動群、4)イソフラボン摂取+運動群に分ける。[イソフラボンの摂取]大豆イソフラボン配糖体カプセルを毎日摂取する。対照群および運動群はプラセボカプセルを摂取する。[運動の実施]運動はウォーキング種目を選ぶ。週3回、毎回45分とする。[測定項目]以下の項目についてbaselineの測定を行なった。DXA法により身体組成を計測した。血中骨形成マーカー,尿中骨吸収マーカー,血中および尿中ミネラル、血清脂質の測定,血中アンドロゲン、LH、FSH、エストラジオール、甲状腺ホルモンの測定を行なった。 [結果]33名の被験者を募集し、baselineの測定を行なった。平均年齢は61歳、平均体重66.6kg、平均身長166.9cm、平均体脂肪率22.1%であった。全身骨密度は1.07g/cm2であった。総コレステロールおよびTGは高値を示した。血中ホルモン濃度および骨代謝マーカーは正常範囲内であった。血中マグネシウム、銅濃度は正常値を上回る者、また亜鉛は下回る者が多いが、平均値は銅を除いて正常範囲内であった。今後、6ヶ月と1年の測定を行なう予定である。
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